温浴施設のレジオネラ対策で見落とされがちな本当の原因
温浴施設の衛生管理でよく聞く言葉に「レジオネラ対策」があります。
多くの施設では、塩素濃度の管理や日常清掃をしっかり行い、「きちんと対策している」と感じているのではないでしょうか。
しかし、実際にレジオネラが発生してしまう施設の多くで、共通して見落とされているものがあります。
それが、バイオフィルム(生物膜)です。
バイオフィルムは目に見えず、普段の清掃では気づきにくい存在ですが、レジオネラ対策を考える上で非常に重要なポイントになります。
この記事では、バイオフィルムとは何か、なぜ危険なのかを、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。
そもそもバイオフィルム(生物膜)とは何か?
バイオフィルムを一言で表すと、**菌や汚れが集まってできた「ぬめりの膜」**です。
家庭の排水口を掃除したときに、ヌルヌルした汚れが付いているのを見たことがある方も多いと思います。
あのヌメリと、基本的な仕組みは同じです。
温浴施設では、
- 人の皮脂や汗
- 入浴剤やシャンプー成分
- 水中の微生物
といったものが配管の内側に少しずつ付着し、それらが重なり合って膜のような状態になります。
これがバイオフィルムです。
問題なのは、このバイオフィルムが浴槽の表面ではなく、配管の内部にできるという点です。
外から見えない場所で、知らないうちに蓄積していきます。
バイオフィルム(生物膜)はどこにできやすいのか
バイオフィルムは、温浴施設の中でも特定の場所にできやすい傾向があります。
まず代表的なのが、循環配管の内側です。
浴槽のお湯が循環する配管は、常に温水が流れ、人の汚れも通過します。日常清掃では手が届かないため、バイオフィルムが蓄積しやすい場所です。
次に、ろ過装置やろ材の周辺です。
ろ過装置は汚れを集める役割があるため、その周辺に皮脂や汚れが溜まりやすく、洗浄の頻度が少ないとバイオフィルムの温床になります。
また、ジャグジーや気泡装置の内部も注意が必要です。
水と空気が混ざる構造のため、レジオネラ菌が拡散しやすく、バイオフィルムができるとリスクが高まります。
特に見落とされやすいのが、
水位計、連通管、水位の上あたりです。
これらの場所は、
- 水が常に流れていない
- 水と空気に交互に触れる
- 汚れが乾いて定着しやすい
といった特徴があります。
普段は意識されにくい部分ですが、バイオフィルムができやすいポイントとして注意が必要です。
バイオフィルムが危険な理由
― レジオネラ対策の効果を下げてしまう ―
バイオフィルムが危険とされる最大の理由は、レジオネラ対策の効果を大きく下げてしまうことにあります。
レジオネラ菌は、
- 温かい水
- 湿度
- 栄養分
を好む菌です。
温浴施設は、どうしてもこれらの条件がそろいやすい環境になります。
そこにバイオフィルムがあると、
皮脂や汚れが菌の栄養になり、さらに増殖しやすくなります。
加えて、バイオフィルムは膜状になっているため、塩素や洗剤が中まで届きにくいという特徴があります。
表面には薬剤が効いているように見えても、膜の内側では菌が守られたまま残ってしまうのです。
その結果、
- 塩素濃度を管理している
- 清掃もきちんと行っている
にもかかわらず、レジオネラが発生してしまうケースが起きます。
「対策しているつもりだった」という施設ほど、バイオフィルムの存在に気づきにくい傾向があります。
バイオフィルムを放置すると起きるリスク
バイオフィルムを放置したままにすると、いくつかの大きなリスクにつながります。
レジオネラ発生による営業停止
レジオネラが検出された場合、安全が確認されるまで営業を停止せざるを得ないケースがあります。
突然の休業は、売上への直接的な影響が大きく、施設運営にとって大きな負担になります。
従業員・利用者への感染リスク
レジオネラ症は、特に高齢者や持病のある方が重症化しやすいとされています。
利用者だけでなく、日常的に施設を管理する従業員にも感染リスクがある点は見過ごせません。
営業再開後の顧客減少
営業停止が発生すると、
「レジオネラが出た施設」という印象が残りやすくなります。
対策をしっかり行い営業を再開しても、
- 利用を控える人が増える
- 客足が戻るまでに時間がかかる
といった影響が出ることがあります。
これは長期的な経営リスクにもつながります。
レジオネラ対策として大切な考え方
レジオネラ対策というと、「菌を殺すこと」だけに意識が向きがちです。
しかし、本当に重要なのは、菌が住み着く原因をなくすことです。
その原因の一つが、バイオフィルムです。
日常の清掃や塩素管理は、レジオネラ対策としてとても重要です。
ただし、それだけでは配管内部にできたバイオフィルムまでは除去できません。
そのため、
- 日常管理で発生を抑える
- 定期的な配管洗浄でバイオフィルムをリセットする
この二つを組み合わせることが、現実的で効果的なレジオネラ対策になります。
まとめ
バイオフィルムは、
- 見えない場所にでき
- レジオネラ菌を守り
- 対策の効果を下げてしまう
非常に厄介な存在です。
レジオネラ対策では、菌そのものだけでなく、菌が増える原因に目を向けることが重要です。
配管内部を含めた対策を行うことで、営業停止や顧客減少といったリスクを防ぐことにつながります。
「自分の施設は大丈夫だろうか?」と少しでも感じた方は、
早めに配管の状態を確認することをおすすめします。
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